大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和42(オ)105 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人戸毛亮蔵の上告理由第一点について。

相隣接する土地の境界が不明であるときは、右土地の所有者は境界確定の訴を提

起し、裁判所の判決を得て、右境界の不明に基因する紛争の解決を図ることができ

るものと解すべく、このことは、所論のように、境界が主観的に不明であると、客

観的に不明であるとにかかわらないというべきである。�

記録によれば、本件においては、被上告人所有の本件a番地のb山林およびc番

地山林と上告人所有の本件a番地のd山林との境界について争いがあり、双方の主

張する境界線が異なつているのであるから、被上告人が右境界の確定を求めて提起

した本訴は、境界確定の訴として許容されるものというべきである。本件は所有権

確認の訴である旨の論旨は、右と異なる見解に基づくものであつて、採用すること

ができない。原判決が、本件を境界確定の訴であるとし、証拠により諸般の事実関

係を認定したうえ、本件境界線を確定判示したことに、所論の違法はない。

同第二点について。

原判決は、その主文において、本件境界線は、第一審判決別紙実測図記載の(イ)、

(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)、(リ)を順次結んだ

線である(右実測図10の点は、松の大木がある地点である)旨を確定しているが、

右主文および実測図の各記載をあわせ読めば、基点とされた10の点が現地のどの

地点を指すかは明らかであり、右(イ)の点は10の点から方位、距離をもつてそ

の位置が特定されており、以下右(ロ)ないし(リ)の点も同様にして順次その位

置が特定されているから、結局、原判示の境界線が現地のどこを指すかは明確であ

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るということができる。所論引用の判例は事案を異にし本件に適切でない。原判決

に所論のような主文不明確の違法はない。

同第三点について。

原判決挙示の証拠(ことに甲第一九号証など)によれば、所論の点に関する原審

の認定は肯認できないことはない。所論引用の各判例は事案を異にし本件に適切で

ない。上告人がした所論鑑定申請を採用するかどうかは、原審の裁量に属するとこ

ろであつて、これを採用しなかつた原審の措置は首肯するに足り、原判決に所論の

違法はない。論旨は採用することができない。

同第四点について。

原審は、原判決挙示の証拠により諸般の事実関係を認定したうえ本件境界線は前

示のとおり(右上告理由第二点に対する判断参照。)である旨認定しているのであ

つて、右判断の過程に違法は認められないのであるから(原審は、所論甲第一二号

証は本件境界を定めるについて有力な資料とならない旨説示しており、右説示は肯

認できる。)、原審が所論c番地山林およびe番地山林の所在、実測面積などにつ

いて審理し認定しなかつたとしても、所論審理不尽の違法はない。

同第五点について。

本件境界線に関する原審の認定が肯認できないことはないことは、右上告理由第

三点について判示したとおりであり、論旨は、ひつきよう、原審が適法にした証拠

の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採ることができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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裁判官 松 田 二 郎

裁判官 大 隅 健 一 郎

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